イーサリアムは、スマートコントラクトというブロックチェーン技術を利用した便利な契約機能が特徴で、人気の仮想通貨です。
今回は、イーサリアムの概要や細かな特徴、将来性などを紹介したいと思います。
目次
イーサリアム(Ethereum)とは
イーサリアムは、2013年にヴィタリック・ブリテンが考案し、イーサリアムという特徴的な名前はオンラインゲーム上の地名に由来しています。
日本では、ネムやビットコインほどの知名度はないイーサリアムですが、仮想通貨先進国の欧州などのマーケットではメジャーな仮想通貨です。
国内でもbitFlyerやZaifなどの大手取引所が取り扱っており、日本のユーザーでも簡単に購入することができます。
また、イーサリアムはハードフォークと呼ばれる技術的アップデートを経験しています。
ハードォークを行った際に生まれたイーサリアムクラシックやイーサリアムゼロという兄弟通貨が存在しています。
イーサリアムの特徴
では、イーサリアムにはどのような特徴があるのでしょうか、以下で紹介します。
イーサリアムの発行枚数と発行枚数上限
イーサリアムの発行枚数と発行枚数上限は次の通りです。
発行枚数 | 発行枚数上限 |
約9800万枚(2018年3月時点) | 無限(今後決定する予定) |
PoW(proof of work)
取引承認のアルゴリズムはビットコインと同じくPoW ( プルーフ・オブ・ワーク)を採用しています。
PoWはネットワーク上に存在する不特定多数のマイナーのコンピューターリソースを活用して、計算処理によって取引の承認を行います。
PoWを採用する仮想通貨にはこの公平な取引を担保する仕組みは通貨として機能するための肝となりますが、決して完璧ではありません。
マイニングの成功難易度が上がり過ぎてしまい送金までに時間がかかったり、量子コンピューターの登場でコンピューターリソースの寡占化が進み51%攻撃と呼ばれる不正取引が将来的に発生することが予測されたりと、問題を抱えています。
今後はPoSへ移行
イーサリアムは今から3年から5年のスパンでPoS (プルーフ・オブ・ステーク)と呼ばれる新しい取引承認のシステムに移行することを表明しており、ユーザーの期待を集めています。
PoSはPoWとは違い、マイナーの計算量に頼ることなく、信頼度に依存します。
その信頼度はどのように測るかというと、基本的には仮想通貨の保有量です。
対象の通貨を多く保有していればマイニングはより成功しやすくなります。
それに加えて、コインエイジ、つまりどれだけの期間その仮想通貨を保有しているかも評価の対象となり、その期間が長ければ長いほど信頼度は高くなります。
PoSは対象の仮想通貨を保有することが前提になっているので、それが担保のような役割を持って、不正を働こうにも発覚した際の値下がりリスクを抱えることになるので未然にハッキングなどの行為を防ぐことができるという優れたアイディアです。
また、ハイスペックなコンピューターを稼働させる必要もないので、電力やその他リソースの無駄遣いにもなりません。
基本的にはPoWよりも少ない労力で取引承認ができるようになるはずです。
スマートコントラクト
スマートコントラクトとは、その名の通り『賢い契約』です。
ブロックチェーン上で契約を完結させる優れた機能で、イーサリアムの仮想通貨としての最大の特徴です。
従来の契約では契約書を作り、印鑑や署名、厳重な補完必要でした。
さらに、問題が起これば裁判で売り上げや費用を回収しなければいけませんでした。
スマートコントラクトは、ブロックチェーン技術を応用することでそれらを一度に解決ができます。
イーサリアムのプラットフォーム上では、スマートコントラクト機能を使い、あらかじめ条件付けをすることができます。
活用事例はまだあまり多くはありませんが、音楽配信サービスなどにはすでにイーサリアムのスマートコントラクトが導入されています。
アーティストに対して印税の支払いなど、複雑状況の契約にも対応しています。
さらに、スマートコントラクトにより契約をブロックチェーン上で処理することで、次のようなメリットがあります。
- 第三者の承認を得られる
- 契約を低コストで締結できる
- お金の回収が確実にできる
- データの改ざんが極めて難しい
など
オリジナルのトークンの作成
トークンとは、ある仮想通貨のプラットフォーム上で誰でも作成することができる独自の通貨と定義されています。
呼称を統一して説明していましたが、イーサリアムは正確にいえば、Etherという基軸通貨を発行する仮想通貨プラットフォームです。
そのイーサリアム上では、イーサリアムの仕組みを使って独自の通貨、つまりトークンを発行することができます。
イーサリアムはゲームや新しいスマートコントラクトなどのアプリケーションを開発することができるのですが、トークンはそれらのプロジェクトで資金調達をしたり、消費したりする目的で活用されます。
現在イーサリアムトークンとしてaugurやgolemなどが存在します。
イーサリアムの将来性
イーサリアムは大幅なアップデートを度々行っており、それは4段階アップデートとしてロードマップが公開されています。
第1段、第2弾のフロンティア、ホームスーテッドと呼ばれるアップデートは実装済で、2018年中には第3弾のメトロポリスが完了すると言われています。
その後には最終段階のセレニティも計画されており、技術的な面での強化が期待されます。
それとは別に、ライデンネットワークという、送金詰まりや送金遅延などのスケーラビリティを解決する技術の実装も計画されていて、現在の進度は50%程度まで完成していると発表されています。
イーサリアムは利用者が増えるにつれて、ブロックチェーン上の負荷は高まり、これらのスケーラビリティ問題を引き起こす要因となっています。
この処理をブロックチェーン外のネットワークであるライデンネットワークに一部負担させることで送金の処理速度が上がることが期待されています。
これらのアップデートやライデンネットワークの実装を考えるとイーサリアムの伸び代はまだまだありそうです。
現在は価格も停滞していますが、今後の動きに期待です。
なお、2018年3月には開発者のヴィタリック・ブリテンと河野外相と会談しています(ツイートの投稿者である右側に写っている日本人女性は、イーサリアム財団の方です)。
もしかしたら、将来日本で活用されるようになるかもしれません。
Ethereum meets Japan. Minister of Foreign Affairs@konotaromp @VitalikButerin #etherum #japan #blockchain pic.twitter.com/flPbDz6Too
— Aya Miyaguchi (@mi_ayako) 2018年3月27日
国内でイーサリアムが購入・取引できる主な取引所
イーサリアムの価格遷移