ビットコインやイーサリアムといった人気の仮想通貨は、開発理念の違いが主な原因となり、多くのハードフォークによる分裂を繰り返しています。
イーサリアムクラシックもそのひとつで、イーサリアム系の仮想通貨の中では、大きな注目を集めているのです。
今回は、そんなイーサリアムクラシックの概要、技術的な特徴、将来性などをまとめて紹介します。
目次
イーサリアムクラシックとは
イーサリアムクラシックは、2016年7月に公開されたスマートコントラクトなどの機能で有名なイーサリアムから分岐した仮想通貨です。
一部のイーサリアム技術者や投資家などが中心となってプロジェクトが立ち上げられました。
DAO事件
イーサリアムクラシックが誕生したきっかけは、日本円で50億円以上の被害があったDAO事件と呼ばれるハッキング事件です。
DAO事件では、ドイツのSlock itが始めた仮想通貨を利用したファンドサービス、The DAOの脆弱性を突かれ、イーサリアムが盗難にあいました。
被害に対してのイーサリアム運営の対策として、ハードフォークが施されたことでイーサリアムクラシックのような分岐したイーサリアム系の仮想通貨が生まれています。
イーサリアムクラシックは、仮想通貨取引の公平性や透明性を重要視しており、非中央集権化を重要視しています。
イーサリアムクラシックは、多くの取引所で取り扱われており、世界中で取引されています。
イーサリアムクラシックの特徴
では、上記で紹介したイーサリアムクラシックはどのような特徴を持っているのでしょうか。
以下で、ひとつずつ紹介します。
イーサリアムクラシックの発行枚数と発行枚数上限
イーサリアムクラシックの発行枚数と発行枚数上限は次の通りです。
発行枚数 | 発行枚数上限 |
約1億枚(2018年6月時点) | 2億1000万枚 |
イーサリアムクラシックはイーサリアムのクローン
イーサリアムクラシックは、通常のイーサリアムと同じブロックチェーン規格をもとに開発されており、機能的にもほとんど変わらない性能を示します。
このような仮想通貨をクローンと言い、この場合、イーサリアムクラシックはイーサリアムのクローン通貨と呼ぶことができます。
なぜこのようなクローンが存在するかという理由は、上記でも紹介したように、プロジェクトとしては優秀なものの、理念の違いや開発面での合意が開発チームやコミュニティ内で取れなくなってしまうことが主な原因です。
仮想通貨やブロックチェーンといってもコンセンサスアルゴリズムの種類、難易度調整の方法、匿名性の強弱など様々な違いがあり、ステークホルダー間で異なる意見が出ることはごく自然なことなのかもしれません。
イーサリアムやビットコインは、プロジェクトとして優れており、規模も他のアルトコインと段違いに大きいので多くのクローン通貨が存在します。
PoW(Ethash)
イーサリアムクラシックのコンセンサスアルゴリズムは、Ethashと呼ばれるPoW系統のものを採用しています。
大まかに分類すると、PoWは計算量による取引の承認を行うので、ネットワークに参加するマイナーのコンピューターリソースによる膨大な情報処理が必要となります。
Ethashは、開発ロードマップのフロンティアと呼ばれるステージからホームステッドと呼ばれるステージへ移行した際に、それまでのコンセンサスアルゴリズムのDagger Hashimoto(ダガーハシモト)を改良して誕生しました。
Ethashは、マイニングにおいてメモリーリソースを主に使用するので、ASICやFPGA抵抗を持つと言われており、いわゆるマイニングリソースの寡占化を防止する機能を兼ね備えています。
PoSへ移行予定
イーサリアムやイーサリアムクラシックは、イーサリアム1.1のバージョンからコンセンサスアルゴリズムをPoWのEthashからPoSのCasperへ移行する考えを示しています。
PoSは、対象となる仮想通貨の保有量と保有期間の組み合わせでノードを評価し、一部マイニングの権限を付与することで、多くのリソースを必要とすることなく効率のいいマイニングが可能となります。
その一方で、特定のノードへの集権化が進むと懸念されています。
PoSシステム上でのマイナーは対象の仮想通貨を保有しなければいけないので、担保としての働きがあり、不正に対しての抑止となることが考えられます。
イーサリアムクラシックのCasperへの移行は、マイニングの滞りによるスケーラビリティ問題の解決策ともいうことができます。
安全性を維持するために拡張性を制限
イーサリアムクラシックは、前述した通りDAO事件のハッキング被害をきっかけに誕生した仮想通貨です。
イーサリアムに比べて、イーサリアムクラシックのスマートコントラクトは、拡張性が制限されており、安全性を高められています。
とくに、DAO事件は外部サービス連携で発生した脆弱性をハッキングに繋がったとされているので、拡張性を制限することで不正に対してはある程度有効な対策ということができます。
イーサリアムと異なり非中央集権性を重視
中央管理者が存在せず、透明性の高い取引が可能な仮想通貨ですが、イーサリアムはしばしば中央集権型の仮想通貨だと形容されることがあります。
その理由は、イーサリアム財団の運営方針や発行された多くの仮想通貨を保有することなどから来ています。
一方、イーサリアムクラシックは、”Code is Law”、すなわちコードが法であるという理念を掲げており、特定の団体や個人に頼らない非中央集権型の自治を目指しています。
イーサリアムクラシックの将来性
イーサリアムクラシックは、イーサリアム系の仮想通貨で、多くの類似機能を持ったライバルたちが存在します。
今後の鍵は、それらの仮想通貨と比べてどのように独自性を出せるかが勝負となりそうです。
イーサリアムクラシックは、独自の色として非中央集権型の仮想通貨ということを強く意識しているので、その点で差別化できる可能性は十分にあると言えます。
直近の動き
イーサリアムクラシックの直近の動きでは、どのような事柄が起こっているのでしょうか。
以下で紹介したいと思います。
ハードフォークによりcallistoが誕生
2018年1月に入って、イーサリアムクラシックのハードフォークの計画があることが発表されました。新しい仮想通貨の名前はcallistoです。
ハードフォークは2018年の3月頃で、イーサリアムクラシックの保有者には1対1の割合でcallistoが付与されたようです。
callistoは、ブロックチェーンのスケーラビリティを向上させることと、クロスチェーンの開発による異なるブロックチェーンに互換性を持たせることで利便性を向上させること、スマートコントラクトを核としたガバナンスシステムを確立することを目標とします。
基本的にはイーサリアムクラシックを受け継ぐことが予測されますが、昨日の詳細などは段階を追って発表されるでしょう。
人気の高いイーサリアム系の仮想通貨ということだけあって、すでに大手の取引所を含めて多くの取引所で流通しているようです。
イーサリアムクラシックと合わせて目の離せないプロジェクトとなりそうです。
コインベースに上場決定
2018年6月12日にアメリカの大手仮想通貨取引所であるコインベースにイーサリアムクラシックの上場が決定しました。
取引できるようになるには、数ヶ月程度必要のようです。
Adding Ethereum Classic Support to Coinbase – The Coinbase Blog
国内でイーサリアムクラシックが購入・取引できる主な取引所
イーサリアムクラシックの価格遷移