多様なアルトコインの成功で、仮想通貨の開発は過渡期を迎えていると言えるかもしれません。
その開発競争の中で、新しいブロックチェーンの活用方法や仮想通貨システムとして便利な機能などが次々と生まれています。
契約の履行を自動化するスマートコントラクトは、最も重要な機能のひとつとして位置付けられており、イーサリアムやNEOなどといった人気の仮想通貨にも実装されています。
今回は、そんなスマートコントラクト機能を実装した比較的新しい仮想通貨、リスク(Lisk)について紹介したいと思います。
目次
リスクとは
リスクは、LSKを通貨単位とする仮想通貨プロジェクトです。
公開は2016年で、上位の仮想通貨と比べると比較的歴史の浅い仮想通貨ということができます。
リスクは、ビットコインやイーサリアムに対抗できるような優れた分散型プットフォームを構築することを目的に開発されています。
分散型プラットフォームとは、P2Pと呼ばれる複数のノードをつなぎ合わせて構成されるネットワーク環境で、多くの仮想通貨のコア技術として採用されています。
分散型ブラットフォームの利点は、通常のインターネットサービスに比べて、次のようなメリットがあります。
- ハッキングなどの不正攻撃に強い
- サーバーダウンなどの影響を受けにくい
- システムに任せた自治が可能
リスクは、この優れた特性に注目し、仮想通貨を軸として様々なサービスをプラットフォーム上で展開しようとしています。
リスクは日本国内、海外の取引所で広く取り扱われており、今では人気の仮想通貨となっています。
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リスクの特徴
優れた仮想通貨プラットフォームの構築が期待されるリスクですが、どのような特徴を持っているのでしょうか。以下でひとつずつ詳細を紹介していきたいと思います。
リスクの発行枚数と発行枚数上限
リスクの発行枚数と発行枚数上限は次の通りです。
発行枚数 | 発行枚数上限 |
約1億2千万枚(2018年6月時点) | 無限 |
サイドチェーン
サイドチェーンとは、メインとなるブロックチェーンとは別に構築される補助的な役割を持つチェーンです。
仮想通貨の普及に伴いメインチェーンでのデータのやり取りが膨大な負荷を生んでおり、多くの仮想通貨が承認遅延などのスケーラビリティ問題に頭を悩ませています。
サイドチェーンはその解決策として期待されていますが、リスクはDAppsと呼ばれる分散型アプリケーションを動作させる基盤として実装しています。
サイドチェーンをDAppsに活用することで、アプリケーションの不具合などが生じたときにメインチェーンに影響を与えることなく処理することができるのです。
加えて、処理速度の速さやセキュリティ面での様々なメリットがあります。
スマートコントラクト
リスクは、イーサリアムやNEOに実装されていることで知られているスマートコントラクト機能を有しています。
スマートコントラクトは、仮想通貨プラットフォームの中でも、もっとも有用性のある機能のひとつで、柔軟性の高い契約条件の作成と正確な自動履行が可能となります。
従来の契約と違い、契約の不履行や持ち逃げといったリスク、書類の作成などが不要となるので高い利便性も兼ね備えていると言えます。
JavaScriptを採用
リスクは、開発のプログラミング言語にJavaScriptを採用しています。
JavaScriptは、ブラウザーベースのアプリケーションなどにも用いられるプログラミング言語で、多くのプログラマーが使用しています。
多くの仮想通貨がプラットフォーム上の開発に独自のプログラミング言語を採用しているのに対して、リスクがJavaScriptを採用したことは大きなアドバンテージとなることが予測されます。
承認システムのカスタマイズが可能
リスクには、プライベートチェーンと呼ばれるメインチェーンとは別に立ち上げることができるチェーンが存在します。
プラットフォーム上でDAppsを起動させるなどの用途が創造されますが、そのプライベートチェーンの開発者は、自由に承認システムをカスタマイズすることができるのです。
DPoS
DPoSは、Delegated Proof of Stakeと呼ばれるPoSの進化系のようなコンセンサスアルゴリズムです。
リスクのDPoSは、間接民主主義のような仕組みを形成していて、取引承認する権限を委任する者を投票で決定します。
仮想通貨を保有する投票者は、合計101人の取引承認を行う権限を委任する代表者を選び、そのプロセスをボーティングと呼びます。
そして、その代表者が取引を承認するプロセスをフォーティングと呼び、通常のマイニングプロセスの大体になっています。
分散型アプリのプラットフォーム
分散型アプリケーション、すなわちDAppsは、分散型ネットワークを利用したプラットフォーム上で動作するアプリケーションです。
リスクは、DAppsを開発、運用するための機能を有するプラットフォームとしての役割も持っていて、仮想通貨決済や報酬システムなどを絡めたアプリケーションをリリースすることができるのです。
イーサリアムとの違い
スマートコントラクトや分散型アプリケーションプラットフォームなどの機能からリスクはイーサリアムと比較されることが多くあります。
リスクは、開発のしやすさなどを考慮してJavaScriptを開発言語として採用したり、取引承認のコンセンサスアルゴリズムをより効率的なDPoSを実装したり、通貨の発行上限を設定しなかったりと、独自性を出しています。
ブロックチェーンの活用方法の違いとしては、イーサリアムがメインチェーンでDAppsを起動させるのに対して、リスクはそれぞれのサイドチェーンで動作させるという開発コンセプトの違いが見て取れます。
リスクの将来性
上記のような特性を持つリスクですか、将来性はどのように見えているのでしょうか。
リスクは、イーサリアムのようなブロックチェーンや分散ネットワークを活用した総合的な機能を実装するプラットフォームとして期待されており、開発も活発に行われています。
流通面の展開では、アジアへの進出に力を入れており、将来的に巨大なマーケットを手に入れる可能性もあります。
以下で紹介する大手IT企業とのビジネス提携も話題を呼んでおり、将来性には期待せざるを得ない状況と言えるでしょう。
マイクロソフトとの提携
リスクは、マイクロソフト社の企業向けクラウドサービスであるMicrosoft Azureとの連携を進めており、ブロックチェーンサービスのビジネス利用の拡大が期待されます。
マイクロソフトは、IT企業で大きな影響力を持つだけに、リスクにとって重要なパートナーシップとなることは間違いないと言えるでしょう。
直近の動き
普及への期待がかかるリスクですが、直近はどのような動きを見せているのでしょうか。
以下で紹介したいと思います。
リブランドを実施
リスクは、アイコンの刷新や新しいウェブサイトの公表、運営方針の見直しなどを含めたリブランディングを行い、2018年2月に再スタートを切りました。
要因は多々あるでしょうが、リブランディング後の価格はしばらくの下落を見せました。
SDKの配布
SDKとは、開発者のためのソフトウェア開発に使用するツールのことです。
上記のリブランディングと同時期のタイミングでSDK配布を始めました。
SDKは、AppleなどもiOS向けのアプリケーション開発を促すために配布しており、プラットフォーム上での開発をサポートし、アプリケーションのリリースを活性化することが可能です。
リスクは、SDKの配布に踏み切ったことで、DAppsプラットフォームとして、また一歩前進したと言えるでしょう。
リスクの価格遷移
国内でリスクが購入・取引できる主な取引所
- コインチェック(新規申し込み停止中)
- bitFlyer(新規申し込み停止中)