アルトコインの中には、同じ基礎技術によって開発された仮想通貨、技術的アップデートによってもともとの特性を受け継いだ仮想通貨など、兄弟通貨と呼ばれるものが存在します。
仮想通貨の基軸通貨であるビットコインにも兄弟通貨は存在し、そのひとつがビットコインキャッシュです。
今回は、ビットコインキャッシュの仮想通貨としての特徴と概要、将来性を紹介します。
目次
ビットコインキャッシュとは
ビットコインキャッシュは、ビットコインに代わる新しい存在としてリリースされました。
ビットコインが抱えていた送金詰まりや送金遅延などを引き起こすスケーラビリティ問題を緩和する目的のためです。
また、ビットコインキャッシュは、2017年8月1日にハードフォークとよばれるアップデートによって、ビットコインから分裂して出来た仮想通貨です。
リリース時には、ビットコイン保有者にビットコインと同数のビットコインキャッシュが付与されました(1BTC持っていれば1BCHが付与されました)。
ビットコインキャッシュの特徴
ビットコインキャッシュは他の仮想通貨やビットコインに比べてどのような特徴を持っているのでしょうか。
以下で解説していきたいと思います。
ビットコインキャッシュの発行枚数と発行枚数上限
ビットコインキャッシュの発行枚数と発行枚数上限は次の通りです。
発行枚数 | 発行枚数上限 |
約1,700万枚(2018年4月現在) | 2,100万枚 |
PoW
ビットコインキャッシュの取引承認は、ビットコインと変わらず、PoW (プルーフ・オブ・ワーク)を継承しています。
ブロックの生成間隔もビットコインと同様の10分となっています。
ブロックサイズがビットコインの8倍
スケーラビリティ問題を解決する方法は多々あると思いますが、一番単純な方法としてはブロックのサイズを大きくするという手段があります。
ビットコインキャッシュもこの考えをハードフォークのベースとしていて、ビットコインのブロックサイズが1MBでビットコインキャッシュが8MBとなっており、8倍ものブロックサイズの拡張に成功しています。
そもそもブロックとは取引履歴の塊で、ひとつのブロックの中に入る履歴の数は制限されていました。
その大きさがビットコインキャッシュのハードフォークによって8倍になったということは、単純にビットコイン位比べて処理能力が8倍になったということもできます。
もちろん、ブロックサイズが大きくなればそれに比例してブロックチェーン上での処理能力が等倍で上がるという単純な話ではないかもしれませんが、処理スペックの大幅な向上が期待できます。
なお、TX Highwayというサイトでは、上記で紹介した内容を車のレーンに置き換えて可視化しています。
ビットコインキャッシュが8レーン(8MB)あるのに対して、ビットコインは1レーン(1MB)しかなく、混在している様子が分かります。
リプレイアタックに強い
リプレイアタックは、仮想通貨特有のリスクで、仮想通貨がハードフォークする際に現れ、被害はオリジナル仮想通貨とハードフォークして新しく誕生した仮想通貨間で発生します。
例を挙げると、イーサリアムとイーサリアムクラシックがそれにあたります。
イーサリアムは、DAO事件という多額の通貨がリプレイアタックによって盗まれるという経験をしています。
リプレイアタックとは、一方のブロックチェーン上で行われた取引をコピーして、もう一方の通貨で不正に送金履歴を生成します。
具体的には、ビットコインの取引履歴に基づいてビットコインキャッシュの取引履歴も不正に生成し、だまし取ってしまうといった行為です。
非常に恐ろしいリスクですが、ビットコインキャッシュはリプレイアタックにも耐性を持った設計になっています。
新しい難易度調整アルゴリズムDAAを採用
DAAとは、Decentralized Adjustments Algorithmの略称で、日本では難易度調整アルゴリズムなどと言われたりします。
ビットコインにはもともと、マイニングの難易度調整機能がついており、2週間に1度の頻度で調整が行われてきました。
そもそもなぜマイニングに難易度調整が必要かというと、ビットコインのマイニングにはコンピューターリソースによる計算量がシステムの鍵となっているからで、加えてマイニングの参加者の増減が発生するからです。
この難易度調整機能は、2週間スパンで参加者が多ければマイニングの難易度を上げ、少なければ難易度を下げたりし、マイナーの供給を調節する役割を果たしていました。
今回のハードフォークによりビットコインキャッシュに実装されるDAAは、より調整がスムーズ仕組みになっており、急激な難易度の変動などを避け、安定したマイニングの供給をサポートします。
新しいトランザクションの署名形式
ビットコインキャッシュはSIGHASH_FORKIDフラグという新しい署名アルゴリズムを採用しています。
この署名アルゴリズムは、主に二重送金などを防ぐセキュリティの向上が期待されています。
新しい署名形式を採用したことにより、上記で紹介したリプレイアタックの回避や、ハーウェアウォレットでのセキュリティ向上などに貢献しています。
ビットコインキャッシュの将来性
ビットコインキャッシュは、ビットコインを継ぐ仮想通貨として大きな期待を背負っています。
ハードフォークによって機能面やセキュリティ面でも強化されていますが、将来性はどうなのでしょうか。
ビットコインキャッシュは、2018年のロードマップを公開しており、継続的な技術開発にコミットする姿勢を示しています。
具体的には、ハードフォークによってブロックサイズの上限引き上げや難易度調整アルゴリズム、DAAの改良になります。
ブロックサイズに関しては、大きければ1度に処理できる件数は大きくなりますが、一件あたりの処理時間は長くなってしまうので、上限を単純に引き上げるというわけではなく、最適なブロックサイズを検討し、取引承認時間の短縮を目指すとの意図があります。
ビットコインキャッシュは市場からの期待も大きく、開発チームもスケーラビリティの問題やセキュリティー面で強化に尽力している印象です。
今後、ビットコインやそのハードフォークによって生まれた兄弟通貨の中でも、ビットコインキャッシュが注目の通貨となるのは間違い無いでしょう。