仮想通貨の世界には、ビットコイン以外にも有望な仮想通貨が存在します。
リップル(Ripple)もそのひとつで、ビットコインにはない特徴を持ち合わせており、日本でも人気の仮想通貨となっています。
今回は、リップルの概要、仮想通貨としての特徴、将来性まで含めて紹介していきたいと思います。
目次
リップルとは
リップルは2004年にライアン・ファッジェー(Ryan Fugger)によって考案されました。
ライアン・ファッジェーは現在リップル社を設立し運営に携わっています。
リップルの目的は、価値のインターネットを実現することです。
価値のインターネットとはあまり聞きなれない言葉ですが、IoT (モノのインターネット)で家電やスマートフォン、車や公共機関がインターネットとつながって近年利便性を増しているように、資産や通貨をデジタル化してもっと便利で効率的な社会を実現しようという発想です。
特に通貨や資産は今まで国や通貨という制限に囚われてきました。
ですが、ブロックチェーン技術およびブロックチェーン技術を応用した仮想通貨を利用すれば、場所や時間を気にすることなく柔軟な決済や資金のやりとりが、国境を気にせずできるようになります。
リップルの特徴
では、リップルはどのような特徴を持ったコインなのでしょうか。
項目に沿って紹介していきたいと思います。
リップルの発行枚数と発行枚数上限
リップルの発行枚数と発行枚数上限は次の通りです。
発行枚数 | 発行枚数上限 |
1,000億枚(新規に発行されません) | 1,000億枚 |
PoC(Proof of Consensus)
取引の承認プロセスはPoC (Proof of Consensus)に分類される仕組みを採用しています。
PoW (プルーフ・オブ・ワーク)がマイナーの膨大なコンピューターリソースによる情報処理を必要とするに対して、PoCはもっと効率的なマイニングを実現しました。
リップルのPoCにはバリデーター(Validator)と呼ばれる特定の承認者達が存在します。
バリデーターは誰でもなれるわけではなく、ある程度の信用がないとできないようになっています。
取引承認はこのバリデーターの投票で可決されるようになっていて、投票の結果80%以上が有効とみなした場合のみ新しい取引が台帳(XRP Ledger)に記録されるのです。
システムの肝を握る重要なバリデーターの選出方法ですが、その選出はリップル社の影響が大きいと言われており、大部分のバリデーターがリップル社のサーバー、またはリップル社の息のかかったノードではないかと言われております。
不特定多数のユーザーがネットワークに参加できるビットコインとは大きな違いです。
このことからリップルは、リップル社が実質的な管理者として中央管理する『中央集権型の仮想通貨』と言われることがあります。
IOU
IOUは、一般的な英語表記でI Owe You。
直訳すると私はあなたに借りがありますという意味を表しています。
IOUは仮想通貨に取り入れられたひとつの仕組みで、現実世界では借用証明書等が同じような役割を持ちます。
借用証明書は企業間や銀行間などでは取引されることがあり、現金と同等の価値を持つ債権として扱われます(もちろんお金を借りている企業や人物の信用によりますが)。
信用経済では、ごく一般的な考え方です。
IOUは、その概念をリップルに実装するための仕組みで、リップル通貨だけのやり取りではなく借用証明書の原理を利用した取引機能を可能にしています。
ブリッジ通貨
リップルはブリッジ通貨としての機能にも優れています。
ブリッジ通貨とは日本円やアメリカドルといった法定通貨との橋渡しに適した通貨のことをさします。
法定通貨による国際送金は時間も手間もかかる作業です。
例えば、日本からアメリカに送金する場合、日本の銀行に依頼を立てて、日本円で一度、中間銀行という送金を仲介する機関に送金します。
その日本円は、中間銀行でアメリカドルに変えられてアメリカ側の銀行に送金されます。
これが、リップルを利用した場合、中間に入る機関を省略して完結させることができてしまいます。
実際に送られるのはリップルですが、アメリカドルが欲しければ取引所などで売却してしまえば簡単に手に入ります。
リップルのブリッジ通貨の利用は、送金コストと時間の大幅な圧縮として利用者にも大きなメリットがあります。
送金速度の速さ
ビットコインの送金スピートは平均で10分なのに対して、リップルは送金までに5秒しかかかりません。
リップルの送金の速さはPoCによる貢献が大きく、バリデーターの投票による取引承認は効率的だということがわかります。
また、ブリッジ通貨としての送金能力も銀行のそれと比べると高く、リップルを利用すると365日24時間送金することができるので全体的なリードタイムも短縮できます。
手数料の安さ
リップルは、銀行などの金融機関を送金ネトワークに取り込み、リップルによる送金網を世界中に拡大しています。
そのネットワークを利用して海外送金などに利用すれば、ユーザーにとっては安価に利用できる新たなオプションとなります。
現在の銀行を利用した国際送金では、以下のような様々なコストが積み重なって割高なものとなっています。
送金する金額が大きくなるとそれに比例してそのコストも大きくなります。
- 手数料2,000円~5,000円程度
- 両替にかかる費用
- 受け取り銀行側の手数料
しかし、リップルを利用すると、取引所に支払う手数料が0.1%から0.3%、0.15リップルの決済手数料、銀行への出金手数料のコストとなり、少なくとも既存の銀行サービスよりも3分の1または5分の1以上は割安となります。
リップルの将来性
リップルの需要拡大に向けて最も期待されているもののひとつが内外為替一元化コンソーシアムと呼ばれるプロジェクトです。
プロジェクトの名前からは、何を目的としたプロジェクトなのか見当もつかないですが、一言で言うとスピーディーで低コストの国際送金インフラの構築を目指しているプロジェクトです。
今では、多くの企業が仮想通貨やブロックチェーンに興味を示しており、このプロジェクトもSBIホールディング株式会社とその傘下のSBI Ripple Asia株式会社によって推進されています。
プロジェクトには、メガバンクを含む60以上の金融機関が参加しており、スマートフォンの活用などを視野に入れながら研究開発を進めています。
また、世界的な取り組みとしては、リップルはクレジットカード会社のアメリカンエキスプレス社や大手送金サービスのウエスターンユニオンなどと提携を発表しています。
どちらも全世界に大きなユーザーを誇る企業なので、うまくリップルを活用したサービスを普及させることができれば、リップルの仮想通貨としてのシェアを拡大し、価格にも好影響を及ぼすことができるでしょう。
リップルは、ビットコインと比べても国際社会への広がり、送金ネットワークの構築、大手サービスとの連携などと十分期待が持てる仮想通貨だと言えます。
技術的にも、独自のPoC ( プルーフ・オブ・コンセプト)XRP LedgerやIOUなどの実装で送金スピードの短縮やブリッジ通貨としての優秀さを引き出しており素晴らしいものがあります。
今後も継続的な開発が予定されているので、目が離せません。
中央集権型の仮想通貨ということで、取引の透明性や公平性に疑問を持つ声が一部上がっており、今のところリップル社の不正など具体的な問題は発生していませんが、投資を検討するのであればその点も含めて情報収拾をすることをお勧めします。
国内でリップルが購入・取引できる主な取引所
リップルの価格遷移