日本ではコインチェックの流出事件で、マイナスのイメージがついてしまいましたが、ネムはもともと日本市場での需要は高く、技術面でも優秀な仮想通貨なのです。
今回は、そんなネムの特徴と将来性について紹介します。
目次
ネム(NEM)とは
ネムはよくアルファベットでNEM/XEM表記されることがあります。
これはネムを理解する上では非常に重要な概念です。
NEMという略称はネムと呼び、英語でNew Economy Movementの頭文字をとったものです。
このNEMは実はブロックチェーン技術を核とした効率的な新しい経済を実現するためのプロジェクトで、仮想通貨のみを指すわけではありません。
XEMはゼムと読み、NEMプラットフォーム上で生み出された主要通貨なのです。
便宜上ネムと統一されて呼ばれます。
ネムは、ビットコインが抱える課題を解決する仮想通貨として期待されています。
ネムの通貨発行上限数は約90億通貨と、数あるアルトコインの中でもかなり多い部類に入り、そのため1通貨あたりの価格は現状あまり高くありません。
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ネムの特徴
では、具体的にネムはどのような特徴を持っているのでしょうか。
1つずつ紹介していきたいと思います。
ネムの発行枚数と発行枚数上限
ネムの発行枚数と発行枚数上限は次の通りです。
発行枚数 | 発行枚数上限 |
89億枚(新規に発行されません) | 89億枚 |
送金速度の速さ
ネムの送金は約1分になります。
ビットコインは送金に約10分かかるので、ネムは10分の1の時間で済みます。
特に、仮想通貨として普及するためには店頭で決済する際の利便性がポイントになります。
すぐに決済が完了してしまうネムは、ビットコインより決済に向いています。
PoI、ハーベスティング
ネムのコンセンサスアルゴリズムは、PoI(プルーフ・オブ・インポータンス)になります。
ビットコインなどに代表されるコンセンサスアルゴリズムPoWが、ノードの計算量で取引履歴の整合性をとる仕組みであるのに対して、PoIはノードの重要性に重きを置いて通貨としての公平性を保つシステムです。
ノードの重要性は仮想通貨の残高、取引量、取引回数の総合値でスコアリングされ、評価されます。
つまり、仮想通貨利用による貢献度が高ければ、よりスコアの高いノードということになります。
また、PoIを駆使した取引承認をハーベスティングと呼びます。
取引承認者には、ビットコインのマイニングと同様に報酬も発生します。
ただし、PoWのように専用の機材があれば誰でも参加できるのに対して、ハーベスティングは誰でも位参加できるわけではありません。
ハーベスティングに参加するには、ネムを10,000通貨、専用のウォレットに保持しなければいけないという基準があります。
例えば、ネムの価格が30円であれば、日本円で30万円分購入する必要があります。
この資金面でのハードルはPoIの仕組み上、不正な取引承認を行うものを排除するための大切な担保となります。
ちなみに、カタパルト実装後に、10,000通貨から下げる議論もでています。
セキュリティの高さ
ネムはコインチェックの580億円分の顧客資産が流失した事件で、セキュリティ面に関して負のイメージがついています。
ですが、あくまで取引所側のセキュリティの問題です。
ネム自体のセキュリティは強固なものです。
また、ネムはPoIという仕組みのおかげもあって、PoWを採用するビットコインなどが頭をかかえる「51%攻撃」と呼ばれるハッキング行為(ブロックチェーンの記録を偽装できる)にも強くなっています。
独自トークンを発行
ネムのプラットフォーム上には、ネームスペースとモザイクと呼ばれる機能が備わっており、それを利用すると誰でも独自トークンを発行することができます。
ネームスペースはインターネットのドメインネームのような概念で、その下に実際の通貨となり流通するモザイクを発行することができます。
モザイクは初期供給数や発行数などを設定できるようになっています。
モザイクの例
- Dimcoin
- Ecobit
- COMSA
アグリゲートトランザクション(カタパルト実装後)
ネムの大規模アップデートであるカタパルト後に実装される機能としてアグリゲートトランザクションが注目されています。
アグリゲートトランザクションとは、複合トランザクションとも訳され、入金を公正な第三者が預かるエスクローサービスや国際取引に活用されるLC (レターオブクレジット)に似た特性を持っています。
ネムのアグリゲートトランザクションは、取引所との契約によってネム以外の通貨(ネムとビットコインのやりとりなど)ともやりとりができるのです。
ネムの活用事例
ネムは利便性の高さから、既存の金融機関や法定通貨、国といったものが担っていた役割をどんどん代替していく動きを見せています。
mijin
mijinは、大手取引所のZaifを運営するテックビューロ社が開発するブロックチェーン技術を企業間取引やプライベートなブロックチェーンとしてビジネス利用するためのプロジェクトです。
mijinは銀行送金などの既存の金融インフラのコストを10分の1までに低減することを目標にしています。
mijinの活用は、次のようなブロックチェーンの特性を存分に生かした利用が想定されます。
- 銀行や株式取引所のアセット管理サービス
- 企業間の迅速な決済を実現するシステム
- ドキュメントや契約など社内のドキュメント管理
- 情報管理と瞬時の実行を兼ね備えた契約システムとしての利用
実際に日立やさくらインターネット、イフォテリアなど上場企業で実証実験が行われています。
COMSA
2017年10月にCOMSAという仮想通貨がZaifに上場しました。
COMSAは仮想通貨であると同時に、ICOプラットフォームとして活用される存在で、スタートアップ企業のICOによる資金調達のための利用が予測されます。
COMSAを利用するメリットは、ICOまでのプロセスが比較的容易に行えるというところで、ホワイトペーパーの作成、ブロックチェーン開発のプランニング、国内外のPRなど必要な機能を一括提供します。
COMSAはネムのパブリックブロックチェーン技術も活用しているので、親和性が高く、価格も高い連動を見せると言われています。
アポスティーユ
ネムにはアポスティーユという機能が実装されおり、この公証に似たサービスを提供することが可能です。
公証とは、『行政上、特定の事実または法律関係の存在を公に証明すること』と定義されていて、不動産の登記や選挙人名簿への登録、著作権登録などが例としてあげられます。
公証に重要なポイントはデータの改ざんがされないことや、記録の日時、第三者による証明などですが、ブロックチェーンはこれらの要件を満たす機能を兼ね備えています。
実際にはネムのウォレットであるNanowalletのプラットフォーム上から公証を作成することができるのです。
ネムの将来性
2017年には仮想通貨市場全体の上げトレンドに乗って高騰を見せたネムの価格ですが、今後の伸び代は期待できるのでしょうか。
コインチェック事件などの影響もあり、2018年はあまり良いスタートを切ったとはいえませんが明るい材料もあります。
それは、上記で紹介したアグリゲートトランザクションを含むカタパルトの実装が2018年内に予定されているということです。
カタパルトの実装によって機能の拡充とセキュリティの向上、送金時間の短縮などが期待できます。
また、ネムはパブリックに利用される仮想通貨だけではなく、B2Bで利用されるプライベートブロックチェーン技術をmijinによって抑えている点も今後に期待できる要因です。
国内でネムが購入・取引できる主な取引所
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